ニッパーは針金や導線など細いものを切る道具です。羊毛フェルトの制作では芯材を切るのに使用しています。また、羊毛フェルトに小さな穴をあける加工もニッパーを使っています。
ニッパーでテクノロートを切る
羊毛フェルトで人形を作るときに、骨組みとしてテクノロートなどの芯を入れると形が安定したり、耐久性をあげることができます。僕が作っている人形は小さいので芯はあまり入れないのですが、頭を胴体につなげるときには補強のために芯をいれて安定するようにしています。芯材として使っているのはテクノロートというプラスチックでできた針金のようなもので、芯材としてよく使われているようです。これを切るときにニッパーを使います。
左上がテクノロートです。自由に曲げることができて、曲げたままの形を保持できる素材です。ハサミでは切りにくいのでニッパーで切ります。人形の頭と胴体をテクノロートでつなぎます。この写真では頭と胴体に刺しているだけですが、最終的にはボンドで接着します。
ニッパーで切ると切れ端がよく飛んでいくので、下を向けて切ったほうがよいです。
ここまでは通常の使い方ですが、羊毛フェルトの形を作るのにも使用することがあります。例えば小さな穴をあける場合です。
ニッパーで小さな穴をあける
先の画像で人形の頭と胴体を繋げていますが、頭の方の接続部分は少しだけくぼませて首が安定するようにしています。こういった小さな穴を作るのにニッパーが使えます。ニードルで刺して穴を作れる場合はそれでいいのですが、すでに刺し固められている部分に穴をあける場合はニッパーを使います。
上の画像がフェルトボールに小さな穴をあける場合です。何回かにわけて回しながら切っていくと、すり鉢状の穴があきます。ニッパーで切ったままだと凸凹しているので、ニードルで刺して穴の表面を整えます。
ニードルで刺したり、ニードルの後ろの部分でこすったりすると表面がきれいになります。小さなくぼみ状の穴ができました。
ニッパーでくり抜く
単純な形のものをニッパーでくり抜いて複雑な形を作ることができます。例として挙げるのが、野球帽の後ろにあるサイズを調整する部分です。名前がわからないのでサイズ調整部分とします。
まず、サイズ調整部分のない帽子を作ります。帽子をかぶった状態です(左上)。次にサイズ調整部分をニッパーでくり抜きます(右上)。あとで切り口をニードルで整えるので少し広がることを考慮して小さめに切り抜いています。下地に髪の毛が見えていない部分がありますが、あとで追加します(左下)。切り口をニードルで整えます(右下)。
切り口を整えたあと、髪の毛も追加します。隙間から見える部分になります(左)。サイズ調整用のバンドをつけて完成です(右)。
こういった感じで、細いものをきる通常の使い方以外にも、形を整える用途にも使用しています。特に、サイズの小さいものを作る場合に、複雑な形をすべてニードルで作っていくのはなかなか難しいので、ある程度形が出来上がったあとに穴をあけたりくり抜いたりした方が簡単な場合にニッパーを使っています。
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